test_「ツナガルリビング」

interweave/ spin

脇坂圭一/名古屋大学脇坂圭一研究室
斉川尚樹/名古屋大学 脇坂研究室 4年
陣昂太郎/名古屋大学 3年
市川綾音/名古屋大学 3年
藤枝大樹/名古屋大学 3年
田中理紗子/名古屋大学 2年
大沼亜輝/名古屋大学 2年
小澤巧太郎/名古屋大学 2年

※田村尚人氏(構造)と協働

自然と都市、過去と現在、西洋の文化と東洋の文化、彼岸と此岸を結ぶ建築とはいかなるものか。そして、歴史都市でありワールド・デザイン・キャピタルであるヘルシンキに相応しい建築としはどういった佇まいであるべきか。われわれの提案はこの問い掛けに対する答えである。

繰り返し岸に押し寄せる波、あるいは柔らかな織物のような曲面を持つこの建築は、様々な対立する項目を結びつけようとする意志の表れである。持ち上げられた曲面越しに、人々の視線が抜け、また中庭を囲む構成は、開放性と閉鎖性を合わせ持つ。入れ子状に配置された展示室周りの動線空間は、行き止まりが無く、ある場所は公園へ、ある場所は海へ面する。どこまでも行き止まりが無く、どこまでも繋がっていくのが、この建物の特徴である。

スロープ状の床をのぼったり降りたりといった物理的な負荷は、日常の生活とは異なる身体性をわれわれに感じさせるだろう。フィンランド産の木材で仕上げた床面は、座る、寝そべるといった姿勢に多様性を与える。2枚の緩やかな曲面を持つスラブが編み込まれたような形態を持つこの建築は、動的でありながら簡素さを合わせ持つフィンランド建築の特徴に合致する。21世紀の技術を活かしながら、人間的な軟らかさを感じさせるこの建築が、この場所を訪れる人々に新たなヘルシンキのイメージを与えるだろう。