ISAIA2016

  image

日中韓の建築学会の共催による国際学会が仙台にて開催される。会場は母校の東北大学。フェアウェルパーティーでは牛タンもメニューに。司会を2本、自分の発表が控える。地下鉄開通後初めて川内で降りる。かつてのバス通りと反対側に出るのか。

image

二日目、朝はは伊東豊雄氏他の基調講演を拝聴する。

多賀城市立図書館

imageimage

このお盆の帰省、内地への復路は多賀城、東京での所用のため陸路で北海道新幹線に初乗車。朝、発つ前に多賀城駅の真ん前の多賀城市立図書館を見学。ここは蔦屋書店と私立図書館が断面的に並列された構成となっていた。以前より、市の図書館が移転するという話と、蔦屋図書館ができるとは聞いていたが、こういうことだったのか。館内は、平面的にもツタヤ領域と私立図書館領域が建具のない開口で結ばれ、自由に行き来できるゆるさを持つ。下階のカフェ、上階のレストラン、吹き抜け越しのオープンな閲覧スペース(ツタヤ領域)、ソファで緩やかに仕切られた閲覧スペース(市図書館)、必要なところを必要なだけ照らす間接照明、クレバス状の吹き抜けで異なる領域が結ばれる分かりやすさ、といった特徴を持つ。これらが外観とどう結びつくか、といったところに疑問があるが、長年塩漬けにされてきた長崎屋跡地とその周辺エリアが全く異なる状況に変化していることに驚く。多賀城在住時、カリン、ミイナと通った旧図書館のいかにも、といった雰囲気は微塵も感じられない、何時間でも過ごしてみたいと思わせる環境が生まれている。このような環境が多賀城の自宅から徒歩2分の位置にできたのはうれしい。

imageimageimage

アカプラ

15aug2016

image

imageimage

札幌を発つ前、いくつかの建築を見て回る。都市の広場であり街路のデザインとして、札幌市北3条広場、通称アカプラは優れた事例の一つだろう。ランドマークである旧北海道庁舎に対する強い軸線に沿って立ち並ぶ高層の事務所建築の足元で、人がくつろぎ、思い思いに時間を過ごす様子は見ていて楽しい。これは家具的要素としてのベンチ、日よけと居場所づくりのための植栽、低層階につくられたカフェ、素材としてのレンガが相まって作られる雰囲気がそう思わせるのだろう。様々なイベントも行われているようで、そうした賑わいを受け入れる物理的な容積と、札幌駅から大通公園への道路に直行するという、溜まり空間としての性格も寄与しているようだ。

主体が札幌駅前通まちづくり株式会社となっているが、運営について調べてみたい。

JIA東海住宅建築賞 1日目三つ目

image image

三つ目の作品は佐々木さんによる方形屋根の家。

佐々木さん得意の笑いに誘い込み、審査員の心を一瞬にして掴む。

青木氏はいつもまず住宅とは別方向に歩いて行き、

引きのシーンを確認しているのだが、ここでは正面ではなく脇の道に入り、隣家と接する庭の状況を眺めている。

庭を接する中、よく会話が成されているという。

内部では、二階に位置する浮遊感のある和室で、オーガンジーのカーテンが揺れる様を体感。

この浮遊感は床、天井間に壁がなくスリット状になっていることによる。

現しの天井を構成する垂木や合板、家具といった木質要素と、ジョリパッドの白という抑制された色彩構成はいつもの佐々木流。

ここにいるとしゃべり声が小さくなるね、という中村氏の言葉の背後で、エアコンの排風音が耳に残る。

image

JIA東海住宅建築賞 現地審査 1日目その2

image

二つ目は川本夫妻によるとんがり帽子の屋根が可愛らしい作品。

浜松の天竜区にあり高速を降りてからだいぶ北上して到達。

豪快に開放した建具はまさしく静岡らしい形式か。木製建具でこのワイドにのけぞる。

嫌が応にも目に飛び込む特徴的な屋根を見ながら奥まった位置にある建物の中に入ると、天井は屋根面の形状のまま上部へと視線を誘い、トップライトからの、と思わせておきながら正確にはハイサイドライトからの光が、下見板張りの壁面に表情をつくる。

コンクリート金ゴテのアプローチ、ざらっとした木の表情、中央部の野趣に溢れた柱が、特異ではあるが割合シンプルな形態の元に展開する。

これが白い壁面だと全く違った印象になるだろう。

ちなみに川本さんの頭もとんがり帽子にセットされており、屋根とシンクロしていた。

 image

image

JIA東海住宅建築賞2016

image image

今年も暑い中現地審査を迎えました。

事務局として青木淳、中村好文、長谷川豪各氏とともに現地審査対象作品を回ります。

最初はaccaの岸本氏が手がけた三島にある住宅。

傾斜地に建つこの住宅からは見上げると富士山が見え、下からは心地よい風が抜ける。

下すぼまりの構成はダイナミックさを高めるだけではなく、外壁の耐久性を高めている。

内部空間は、二階に3つのレベルが設定され位置によって異なる天井高となり、

それが包まれ感、抜け感を生み出す。

中央にまきストーブがあったが静岡の温暖な気候で必要なのかと思ったがどうだろう。

一階の浴室からは傾斜地を見下ろすかたちとなり最高の開放感。

 

image

浜松市・鴨江アートセンター訪問

浜松市中区鴨江にある鴨江アートセンターを訪れました。

目的は「浜松デザインパートナーズ2016」を購入することと、

静岡文芸大の天内先生と応募しようとしている建築に関するシンポジウムの会場下見を兼ねて。

まず建物が良い。昭和3年(1928)竣工というから、築88年ということになる。

パンフレットによると、当初の用途は浜松警察署庁舎で、第二次大戦の浜松空襲、昭和19年の昭和東南海地震に耐えて、さらに平成20年の市民による保存運動により、文化芸術拠点として生き返ったとのこと。

外部開口部から見えるブレースは如何なものかと思うが、エントランスのアーチや、付け柱、縦長窓に大正の建築の余韻が残る。

内部に足を踏み入れると、テラコッタの質感、ホールの柱柱頭の意匠、階段室の手摺壁の曲線、そしてこれもこの時代の建築の特徴だと思うが高い天井が開放的な印象を与える。

建築に関するシンポジウムの会場として、とても魅力的だし、キャパシティも十分。

文化芸術創造団体としての認定で利用料も安くなるというが、利用料の減額はともかくとして、大学の建築系学科が市民と建築家(の活動)をつなげ、文化芸術活動としての都市・建築デザインを盛り上げていければと思う。